ラグジュアリーブランド店長ブログ

イベント疲れをイベント活用に変える方法とは?:ブランド店長問題解決講座(105)

■スタッフもお客様も”イベント疲れ”に?!

「最近毎月のようにイベントがあって、正直スタッフもイベント疲れで・・」という悩みを聞くことがあります。

定期的に開催されてきたトランクショー(予約受付イベント)、百貨店催事に加え、百貨店の”ステージ”やPOP UP、閉店後に特定顧客様だけをお招きする店舗内のイベント、スポットで行うコラボイベント、などイベントの種類だけでなく、開催回数も増えてきているのは事実です。その背景には、市場の成熟化に伴って、お客様への訴求の仕方が多様化してきているという流れがあります。従来の「欲しいものがあるからお店に行って、接客を受けてそこにあるものを買う」という購買行動では物足りないというお客様が増えており、店舗で待っているだけではなかなか年間予算が達成できない。あるいは新しいお客様を呼び込めない。であれば、「今、そこに行かなければ体験できない、買えない、という状況」を創り出す、その1つがイベント、というスタイルです。それも他ブランドと横並び、というわけにはいきませんから、お客様にとって特別感を打ち出すための準備をしなければなりません。

通常業務に加えて、常に「イベント準備」と「集客と売上というプレッシャー」が毎月襲ってくることから、心身ともに休まる暇がない状態が続くとのこと。結果的に「先月のイベントが終わったと思ったら、もう次の顧客様の呼び込み…」と、1つひとつのイベントに対する特別感やモチベーションが薄れて機械的な作業になってしまうことを、「イベント疲れ」と表現したのだと思います。

店長としてスタッフのモチベーションが下がることは重要なリスクですが、さらに大きなリスクとして、お呼びできる顧客様が限られているため、何度も同じ方に声をかけることになり、お客様も「もう結構」となること。特に富裕層のお客様は他ブランドからも同じような招待を受け取っており、お忙しい中時間をとれないだけでなく、イベントの道具になってしまうことに嫌気がさしてしまう恐れもある。そうすると、コツコツと築いてきた信頼関係も崩れるという怖さもある、とのこと。打開策は?と聞くと、「それが分かればいいのですけど。会社の方針ですから、こういうことはすべて言い訳にすぎませんから」という答が返ってきました。店長として、一体何ができるのでしょうか?

■イベントは活用するもの!

その答えを探していた時、あるブランドで非常に優秀な販売スタッフとの出会いがあり、ヒントをもらいました。彼女はそのブランドでのキャリアは短いものの、売り上げは断トツ。理由を聞くと「前職のブランドで店長から基本をしっかり教わったので、それを応用しているだけです」と言います。基本とは何を指すかを確認すると、「前職では、店頭だけでは年間予算は達成できない、という前提があり、イベントでいかに大きな売上を創れるかが重視されていました。ですから、イベントにお越しいただき、そこで購入いただけるようお客様との関係構築こそが、仕事の基盤でした。それができなければ、全く通用しないのです。そのためには行き当たりばったりではなく、しっかり計画を立てて物事を進める、先読みをする、イベントが終わればできたこと、できなかったこと、その理由を分析し、次のアクションに活かす、ということを繰り返しました。最初の1~2年はそれでも全く振るわず、予算未達という悔しい思いもしましたが、3年目あたりから着実に花開いて、その後は安定して年間予算を達成することができるようになりました。今は、売るものが替わってもその基本は十分通用する、ということが分かりました」とのこと。

「転職先では、前職よりもイベント回数が多く、その分大変じゃないの?」と聞くと、「いえ、数回しかないと正直、失敗が許されないじゃないですか。でも、ここへ来て前の倍ぐらいイベントがあるので、その都度自分で戦略を練って検証してきました。そのおかげで、比較的短期間で安定して高い数字を出すことができています」とのこと。要はイベントに向き合う姿勢がそもそも違うのです。そこで、そのスタッフを育成した店長にインタビューをし、具体的な指導法を教えてもらいました。キーワードは「戦略を練る」です。

■戦略を練ってイベントに臨んでいますか?できる店長の指導法とは?

できる店長に話を聞くと、先述のスタッフ同様、”イベントを通して様々なスキル・考え方を磨くことが、会社・自分達、そしてお客様にとってもメリットがある”というのが持論でした。話を聞くうち、すべてにおいて「店頭ありき」という固定観念に強くとらわれていた私自身、反省させられました。

できる店長のイベントに対する考え方を整理すると
①店頭もイベントもオンラインもすべて重要なお客様接点であり、そのウエイトは状況・お客様によって柔軟に変化する。今の時代は、それぞれが点ではなく、一連の動線になるようにすることも大切。
②そうなるとイベントの位置づけは、本来の店舗業務に追加されたもの、という捉え方ではなく、両方をにらんで、いかに年間予算につなげるかの作戦(戦略)を練ることが前提。
③ただし、イベントにお呼びするには関係構築が必要。だからこそ、店頭での接客において「購入頂けたか否か」だけでなく、「将来イベントにお呼びできる関係につなげていくには」を常に意識しながら対応することは必須。イベント間近になって慌てているようでは、あまりにもったいない。
④イベントは画一に扱ってはいけない。イベントごとに「コンセプト」があるので、それをまずは店長としてよく理解し、どの顧客様にピッタリかを考えてソートできるようにしておく。そのためにも、店長は日頃から舗の顧客様の状態(増減、属性、関係性、特徴、など)を良く掴んで、今時点では、どの顧客層が強くて、どこが弱いのかを考えておく。且つ、スタッフにも共有して、こういう方を取り込めるようにしておきましょう!と作戦を練る。
⑤要は、日頃から先々を考えて、必要な準備をしておくこと。それなしでは、年間予算はなかなか達成できない。
イベントは、店舗の準備状態を試すリトマス試験紙。もちろん、負荷はかかるため大変ではあるけれど、スタッフごとに対象のお客様をお呼びできる準備ができているかをチェックできる。それが育成になっている。できていなければ、次までの課題を明確にして取り組んでもらう。
⑦終わったら、もともと立てていた計画・読みに対してどうだったか?その要因を掴んで、次に活かす。
結局、その取り組み自体が、プロフェッショナルなスタッフの育成につながっている、ということなのです。且つ、顧客管理の意味が浸透し、日常的に徹底できているため、店舗全体の売上も年間を通して安定しています。一石五鳥、十鳥ということです。

それでもぶつかった壁はないのかを聞いたところ、「イベントが急に決まってあたふたさせられたり、実際蓋を開けたら品物が届いていない、などトラブル続きもあります」とのこと。ただ、それも回数を重ねるうちに対応法が見えてきて、大きな失敗は避けられるようになったようです。
最後に「確かにイベントはプレッシャーもあります。お客様だけでなく、私たちにとっても非日常ですから。神経を使う分、疲れもあります。ただ、そういう機会があることで、気がついたら”プロジェクトマネジメント、タイムマネジメントやリスクマネジメント、関係者との交渉スキル”が身につきましたし、成功した時の醍醐味は次にはもっと頑張ろうという原動力になります」。続けて「私の強みはただ1つ。何が頭上にふりかかってきても”かかってこいっ!”という気持ちで向き合えることです」という言葉を笑いながら残してくれました。

好む好まざるにかかわらず、様々な要請が次々飛び込んできて、あれもこれもで手一杯になってしまうからこそ、発想を切り替えることができるか、そして中長期視点で必要なことを洗い出し、作戦(戦略)を練って実行に移せるかがますます問われる時代です。ただ、このステップも活用次第で未来への大きな飛躍につなげることは可能だということを私自身が教えられました。

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