ラグジュアリーブランド店長ブログ

2022年新卒社員5つの特徴(新入社員研修の現場から)

2022年新卒の導入研修を通して感じた5つの特徴を以下まとめました。皆様の会社の新卒の特徴と比較していかがでしょうか?

1.対面研修歓迎モード

コロナ禍ではあるものの、新入社員にとっては重要なスタート時期。今年はあえてオンラインではなく感染対策をしたうえで対面で新入社員研修を実施された企業も増えています。
当の新入社員にとっては、大学時代の半分がオンラインだったということもあり、対面研修は歓迎ムードであると感じました。
実際に感想を聞くと「対面研修は、五感を通じて会社の人たち、同期の考えていること、雰囲気も分かる。自分がどう見られているかも体感できる」という安心感につながっているようです。
オンラインではたとえば休憩中にどこまで会話してよいのか躊躇もあります。また、言葉と本音がどこまで合致しているのか、という不安もあります。
対面研修では、そこまで気を遣うことなく、目的達成に集中することができます。
また、様々なタイプの人と協力して課題を達成する中でチームワークを築く体験や接客販売のロールプレイングでの感情の機微を汲みとる練習など、ワンランク上の体験ができるのがやはり対面研修である、ということを改めて実感し合いました。

2.コミュニケーション意欲の高さ

対面とはいえ、感染リスクを考えると、本来同期同士でおしゃべりを楽しむランチタイムも「黙食」が前提となります。客観的に見るとお通夜のようで、私などは息が詰まりそうになりますが、新卒にとっては学生時代に躾けられている分「当たり前」とのことでした。ただ、その分食べ終わった後や休憩中はお互いに自然とコミュニケーションをとるスタイルです。それこそ「当たり前」のようですが、数年前は休憩になると各自スマホを手にして、学生時代の友達にメッセージを送ったり写真に集中するという状況もありました。「目の前に人がいるのにスマホの世界に入っていく」ということに衝撃を受けましたが、逆に今年の新卒は学生時代オンラインで隔離されていた分、リアルなコミュニケーションの機会を大切にしているのかな、と感じ安心した次第です。

3.ロールプレイングへの抵抗のなさ

接客・販売研修では通常以上に応対スキルの向上のためのロールプレイングの回数が多くなります。後で振り返りができるよう「ビデオ撮影」も行います。 経験を積んでいるスタッフの研修での「ロールプレイングは緊張して本来の自分ではなくなる。だからロールプレイングはやりたくない、やっても効果がない」という反応と大きく異なり、新卒は当たり前にチャレンジします。また結果を踏まえて反省点を洗い出し、次にやるときには改善しようとします。
理由として
①ロールプレイングに対するネガティブな先入観がない。メリットを教えられれば素直にチャレンジしようとする
②就活を含め、自己アピールをしてビデオに撮って送る、という経験をしてきている
③デジタルネイティブ世代で、どう見られるか、どう見せるか、というビジュアルコミュニケーションが浸透している
④配属後自分がちゃんとやっていけるか、という不安感を払しょくするには理屈よりも実践、やってみることが大切、という意識が強い
などが挙げられます。これは今後のスキルアップにおいて大きな促進材料になると考えます。

4.アイスブレイクへの抵抗のなさ

コロナを通してオンラインショッピングが増えている中、あえてリアル店舗での販売スタッフを目指す理由として「単なる販売員ではなくブランドの価値を伝えられる人」「せっかくご来店されたお客様に素晴らしい体験を提供できる人」になりたい、という発言が多く聞かれます。
新しい時代の「販売スタッフの役割」を自覚している割合が増え、販売業というよりホスピタリティ業として受け止めています。
特にラグジュアリーブランドとなると敷居も高く、お客様も緊張されている中でいかに自分たちの働きかけでリラックスした会話ができるか、ということを重視する傾向が強くなっています。
ロールプレイングを行っても、お天気の話、パーソナルな質問、共感の相槌、など商品説明に走らず、個人的な会話のキャッチボールを大切にしようという傾向が強まっていて、率先して世間話をしようとします。
「商品を売る前に自分を売れ」ということは古い時代からよく言われてきましたが、新卒にとっては接客・販売を通して「自分」という存在をしっかり受け止めてほしい、という素直な承認欲求や自己実現欲求と絡んでいるようです。接客を単なるルーティンではなく、お客様との会話を楽しむ機会、と捉え、貪欲に関わっていこうとするこれまでにない新しい流れを感じました。

5.新卒は世間の風潮をそのまま映す鏡

研修ではスタート時に「ビジネス基礎意識調査」というアンケートをとります。そこに各自の意識傾向が特徴的に浮かび上がりますが、新卒はある意味フィルターを通さず世の中の風潮をそのまま映す傾向が強いといえます。
たとえば個人差はあるものの「仕事観」「リーダー観」では以下のような特徴が見られます。
①仕事・会社は「決められたこと、言われたことをまじめに忠実にこなすことでうまくいく」「こつこつ改善をしていけばうまくいく」
②リーダーの重要な役割は「チームが和気あいあいとやれるよう波風が立たないようにみんなの調整役をきちんとやること」
どちらかというと「守り」の考え方が強い、という傾向です。
特に今年は「誰も置いていかない」というキーワードが随所に聞かれました。SDGsの情報も踏まえ、ますます「人にやさしく」という風潮は強まっていると実感します。
ホスピタリティ業だけに上記の特徴は特に顕著だと思いますが、一方で「ビジネスはより価値を出せる者だけが生き残っていく世界」であり、そのためにも「大局観・多面的なモノの見方、多様性への対応力、など高い期待の中で自己成長できる自分でなければならない」と研修では訴えます。この最初の切り替えがしっかりできないとせっかくの才能も開花せずに終わってしまう、という危機感も改めて感じた日々でした。

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