ラグジュアリーブランド店長ブログ

顧客づくりのためにはずせない2つのポイントとは?ブランドの真価と進化:ブランド店長問題解決講座(38)

■顧客とはーブランドの”真価”を理解し、ブランドの”進化”を楽しんでくださる方々!

顧客というと、繰り返し購入してくださるお客様、という定義が一般的です。が、もう一歩踏み込んで考えると、単に購買力があって「悪くはないわね」というレベルで複数回購入いただければそれで良いか、といえば、やはりそれだけではもったいない、という気持ちになりませんか?決してお安くはないブランドの品を購入いただくにあたり、どうせなら、「このブランドが~だから、好き!」と思って購入いただく方が、販売する側としても充実感がありますし、実際に安定した長いお付き合いにもつながります。すなわち、ブランドの「真価」を認識し、且つ好んでくださる状態にもっていけるかどうかが重要なカギです。

一方、どのブランドも激しい競争の中で止まっているわけにはいきません。常に新鮮な驚きや感動を提供できなくては、飽きられてしまいます。進化する、ということは変化する、ということでもあります。中には「こんなに変わってしまって・・」と思われるぐらい、果敢に、且つどん欲に変化していくブランドもあります。当然顧客が離れていくこともある中で、ブランドの「進化」を楽しんでくださり、より盛り上げてくださる方々こそが、真の顧客ともいえる存在です。

当然そういう顧客を作っていくことは並大抵ではありません。自然に任せているわけにはいきません。だからこそ、店頭スタッフの役割の重要性が増しているのです。

■顧客づくりのためにはずせないポイント その① ”もう一歩深く!”にこだわれますか?

「着る物を選ぶということは、自分の生き方を選ぶことだ」(ココ・シャネル)と言われるように、ファッション(衣服・装身具・髪型・お化粧・香水等)は着る人の“美意識”をそのままあらわすと同時に、“個性”を表現する手段と認識されています。

だからこそ、多くの人はTPOに応じて「どういう自分でありたいか」「どういう自分と見られたいか」を考えて服や持ち物を選びます。
ということは、店舗に来られるお客様もその段階で明確に意識している、していないにかかわらず、その奥には何かしら「こんな自分でありたい」「この人たちからこういう自分であると思われたい」という欲求を持っており、それを物差しに、「合う・合わない」を判断していると言えます。

それに対して販売スタッフ(ファッションアドバイザー)がお客様の興味を引くために「こちら新作ですよ」「こちら人気ですよ」という画一的なアプローチで終わっていたり、「うちのこの商品がいかに素晴らしいか」を一方的に滔々と説明しても、本来のファッションアドバイザーの価値は生みだせません。

ファッションアドバイザーは説明屋や押しつけ屋ではなく、あくまで「お客様の自己実現支援」「お客様が思う自己表現支援」のためにいるプロとしての役割が期待されているのです。

ファッション
ただし昨今のミレニアル世代、Z世代は、単に見た目だけが選択の基準ではありません。
「クール」という言葉をよく聞くようになりましたが、「いけてる」「かっこいい」は単に流行っているものを持っている、ではなく、「自分に合うものをよくわかっていて、それをユニークに、あるいは上手に着こなしている」というあくまで本人の個性を活かしているかどうかが重要なポイントと言えます。
浮きすぎてもダメ、ただ奇抜なだけでもダメ、でも自分らしくにはこだわりたい、となった際、どうすればそれに近づくことができるか、
それを的確にアドバイスしてくれる存在を求める人にとってファッションアドバイザーは重要な助っ人です。

もちろんこれまでもいろいろなことにこだわるお客様は多くいらっしゃいました。「カラー」「縫製」「スタイル」「トレンド」などなど。
ただしミレニアル世代やZ世代はたとえば「エコにこだわる」→「どんな素材であるか」「どんな工程でつくられているか」「どんなポリシーを持ったブランドか」、あるいは「差別反対」→「どんなモデルを使っているブランドか」「どういう理念を持ったブランドか」など、表には出にくい一歩踏み込んだところまでこだわる層も徐々に増えてきています。
ということはファッションアドバイザーは店頭にある商品の知識を知っていればよい、というレベルではなく、SDGsの概要や、自ブランドの哲学、SDGsに関する具体的活動、サプライチェーン、製造工程などについてもしっかり頭に入れて対応することも求められます。すなわち、もう一歩深く、が差別化の重要ポイントなのです。

■顧客づくりのためにはずせないポイント その② 時代の流れを読んでプロアクティブに!

振り返る

もちろんブランドとして、HPやSNSでブランド情報を発信しているものの、文面・画像の情報だけではお客様それぞれ受け止め方も異なります。
時にはフィルターを通して歪んで伝わることもあります。だからこそ、直接対面しているスタッフが、お客様のこだわりに合わせて正しくブランドの情報・取り組みを伝えることも、デジタルの時代だからこそ、重要なミッションとなるのです。
時代の変化を超えてブランドが存続できるかどうかのカギは消費者(お客様)が握っています。名だたるブランドであってもサステナブル追及やDXを含めた環境変化の中では絶対安泰ということはあり得ません。
だからこそどのブランドも危機感をもって様々な取り組みを通して時代を超えた本物の価値を次世代の消費者にもしっかり伝え、絆を深めていこうとしています。
お客様との直接接点を担うファッションアドバイザーは、こうした時代の流れを読むとともに、未来に向けて柔軟に新しいことにトライし、ノウハウ化するプロアクティブさが求められます。時代の過渡期は様々な失敗や葛藤も想定されますが、それが実を結んだ時の喜びは、働くうえでもまた新しい世界をもたらしてくれるのです。

前述のように、顧客とは、そのブランドの”真価”を正しく理解し、且つそのブランドの”進化”を楽しんでくださる方々です。そういう方を一人でも多く作るためにも、スタッフはブランドとお客様の架け橋という重要な責務を担っているのです。

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