ラグジュアリーブランド店長ブログ

AIスタッフと協力してお店のファンを増やすためのポイントとは?:ブランド店長問題解決講座(72)

■え、あなたAIなのっ?凄い会話力!

2022年、人間のように自然の会話ができるCHAT GPTの出現でこれまでの当たり前が大きく覆されました。身近な例でいえば、たとえば、英会話練習。そもそも日本人は日常生活において英語で話す量が圧倒的に少ないため、期待するほど伸びない、という現実の壁が立ちはだかっていました。高いお金を払って学校に通ったり、アプリをダウンロードして使ってみても、発話練習を重ねないことには英語は上達しません。でもなかなか空いた時間で一人で練習と言っても続かない。そこにCHAT GPTによるAI先生が登場。試しにと思って使ってみると、従来のレベルをはるかに超えた対応にびっくり!こちらの発信したことを柔軟に受け止めてボールを返してくれる、まさにWonderful!な会話力。思わず「あなた、本当にAIなの?」と聞いてしまいました。あたかもそこに生きた先生がいて、どんな下手なボールを投げようが、にこやかに優しく返してくれる、というイメージです。「AIといっても、しょせんペッパー君レベルでしょ。あれでは使えない」とどこかで馬鹿にしていた自分が恥ずかしい。まさに「AIおそるべし」という衝撃が走りました。同時に、これまでの英会話学校はこの強敵とどう戦って生き残っていくんだろう?という疑問も浮かびました。英会話のAIアプリなら月1,000円で24時間パーソナルに話し放題。且つ、チェック・修正・トレーニング・スコアリングまでしてくれるアプリが登場したとなると、英会話の先生たちも新たな差別化戦略を考えざるを得ない状況がまさに到来した、ということでしょう。

それをリテールに置き換えてみると何が起こりうるか?今はまだ多様なお客様との会話に柔軟に対応できるレベルではありません。が、AIは店頭で日々どのような会話が展開されているかを学習さえすれば自ら進化していきます。今私たちが接客している以上に、お客様を楽しませながら、親身な提案ができるようになる日もそう遠くないかもしれません。おそらくお客様からどのような話題をふられても、膨大なデータベースから瞬時に最適なリアクションを導き出すでしょうし、答えられない時の対応法も洗練されていると想定されます。まさに「会話」においては、日々学習し続けるため、一人のスタッフ以上に話題を広げたり、豊かな会話をお客様と紡ぐことが可能になるのです。

ある学者は「それは現実可能で、AIはトライすればしただけ人間を超える能力は持っている。しかし、今はリアルな人を使う方がコスト的に合うので、すぐにAIにとって代わることはないだろう」と言っています。そう、AIスタッフの方が現時点では高額なのです。それを聞いて複雑な心理になりました。情報が少ない中で未来を予想するのは至難の業ですが、CHAT GPTによる衝撃的な革新が世界のこれまでの当たり前を変えていくタイミングであることは事実です。近未来は、私たちの想定をはるかに超えたものになることでしょう。

■個々のスタッフが「私自身の考え・強み」をしっかり打ち出すことが大切!

では、英会話の先生同様、私たちもどのようにAIと差別化していけばよいのでしょうか?
AIは得意とする分野では理想的な解を導く出すスーパーパワーを持っています。それに比べて、私たち人間は努力をしているつもりではありますが、理想とは程遠く、間違いも無駄も多いと言えます。
ただ開き直ってしまえば、だからこそ人間らしいとも言えます。生まれてこの方、おかれた環境の中で自分なりに考えて生きてきた、という歴史や経験を持ち、結果として今の仕事を選択し、お客様と接している一人の個性を持った人間です。すなわち、私たち一人一人それぞれの価値観、経験、学習に基づく、個としての考え方、感性、感情を持っています。誰から見ても文句のつけようのないパーフェクトな回答を出すことはできないかもしれません。が、目の前のお客様が喜ぶ顔が見たいと思い、精いっぱい自分のデータベースも駆使しながら一緒に考え、提案する。その姿勢を見たお客様が「あなたの感性が好き。あなたがそれを勧めてくれるなら、信じて素直に従える」「私以上に私のことを先回りしてしっかり考えてくれている」「毎回えっ!そう来る?という新鮮な驚きがある」「さすが、ユニークな視点、と思える」と思ってくださる。且つ、そのプロセスを楽しんでいただくことは可能です。

ある意味、AIはライバルではなく、頼りになる同僚であり、お客様は目的に合わせてAI接客を選んだり、あなたを選んだりできる、すなわち、選択肢が増えるとも考えられます。あるいは、両方の接客を受けることで、それぞれ違った視点を楽しむこともできます。
当然、あなたを選ぶ際は、AIに期待することとは異なる期待値があります。お客様があえてスタッフの接客を選ぶ際には、よりスタッフの個性の発揮が求められるのではないかと思います。”そつなく、スマートに””明るく、親切に”だけなら、AIでも十分です。むしろ、それを超えて「私はこういうことを強みとしたスタッフです。~については私にお任せください」と言えるレベルの強みを培っておくことがお客様の期待に応えることであり、未来への「保険」にもなると考えます。AIと戦うというより、AIに任せられるところと、自分が引き受けるところを住み分けることで、とことん自分の強みで勝負できる状況が到来するのです。その時あなたは「何」を武器にしますか?

■AIは頼れる同僚に?

ある店長いわく、「AIとの会話は味気ないものから豊かなものに、格段に進化しました。当初は私も自分たちの存在意義について危機感を感じました。うまく会話するだけなら正直勝てないかもしれないと。でも、AIは別に私たちに対してライバル意識を持っているわけではありません。そもそもより店頭での体験の質を高めるために導入されるのであれば、私たちは勝ち負けではなく、AIの会話にさらに肉付けしたり、AIが引き出してくれた情報をもとに、お客様に喜んでいただける先読みしたコーディネート提案に力を入れることもできます。AIはチームの一員として、私たちをサポートしてくれる可能性も多いに持っています。分からないことをすぐに教えてもらえますしね(笑)それをうまく使いこなして、より良いチーム作りをし、今以上にお客様に喜んでいただける状態を創れるかどうかがむしろマネージャーとしては問われるのかもしれませんね」。

どんな未来になるのか、不安半分、楽しみ半分です。が、もしかしたらAIがその会話パワーで職場を明るく盛り上げてくれて、あなたにとっても必要不可欠な頼れる同僚、になっているかもしれません。

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