ラグジュアリーブランド店長ブログ

アプローチのタイミングを誤っていませんか?お客様にとって良いタイミングとは?:ブランド店長問題解決講座(13)

■商品購入後のアプローチで”がっかり”を生むケースとは

「お客様に気持ちよくお買い物をしていただいても、その後のご来店になかなかつながらない・・」という悩みをよく聞きます。しかし実は、当たり前にやっている販売後のフォローアップでお客様にがっかり感を与えてしまっているケースも多く存在します。
たとえば先日、知人から以下のような話を聞きました。

・この間たまたまディスプレイを見ていて素敵だな、と思ったコートがあった。ちょっと予算オーバーかな、と思い悩んだが、最終的には購入した。
・なぜなら接客してくれたスタッフが「シーズンの立ち上がりに時期だからこそ、在庫もあり、好きなものをお選びいただける。似合っているし、人気の商品だから売り切れる可能性も高い」と熱心に勧めてくれたから。気に入ったデザインでもあったので、「ま、いいか!このスタッフを信じてみよう!」という決意で買った。だから、今年の冬はちょっと楽しみ・・と密かに思っていた。
・ところがその直後(まだ本格的な寒さも到来しておらず、新しいコートを着たこともない時点で)担当してくれたスタッフからDMが届いた。そこには 「コートフェアのご案内」とあり、コメントには、「ポイントアップ期間ですからお得です」とある。
・DMを見た瞬間の印象として「正直、その1枚のDMでせっかく“いいスタッフに出会えた”と思っていた気持ちが半減し、むしろ“がっかりした”」。

がっかりした理由を聞くと
①あたかも親身に接客してくれたようだったが、おそらく「過去にコートを買った客」と機械的に分類し、DMを出している。結局は単にコートを1枚買ったお客であって、どんな心情や背景で買ったかは、このスタッフには残っていない。
②まだ着てもいない段階で、「着てみてどうですか?」もなく、コートを勧めてくるということは、売るまでが仕事で、その後お客様がどう感じたかにはあまり関心がない。
③あの時、「インナーも含めて、いろいろあるんですね・・」とこちらが興味を示したことには一切触れず、コートを勧めてくるということは、コーディネートの相談に乗る、というスタンスはなく、言葉巧みに売りたいものを売る、というスタンス。
というスタッフの印象が刷り込まれてしまったとのこと。

もし知人が接客を通してそのスタッフに対し期待や信頼を寄せていなければ、そんな風に感じなかったかもしれません。「高い買い物だからこそ、誰か信頼できる人の言葉を聞きたかった。その信頼に値するスタッフだ」という期待があったからこそのがっかり感と言えます。

しかし、お客様はそのがっかり感をわざわざスタッフに言いに行くことはしません。黙ってDMを捨て続けるだけです。
せっかくご満足いただける接客で販売までリードできても、実は無意識でやっているアフターフォローのまずさが、その努力を無駄にしていたりするのです。

■効果的な顧客アプローチのタイミングとは?ーお客様の「状況軸」を考慮して行う!

新作・カタログ・イベント時期など、会社や店舗側のアプローチのタイミングはそれぞれ用意されています。しかし、より心に響くのは、お客様が“いいタイミング”と感じるタイミングで行うお客様に寄り添ったアプローチです。
そうなると難易度は高くなります。なぜなら人それぞれいいと思うタイミングは異なるし、同じ人でも毎年同じタイミングがいいとは限らないからです。
だからこそ、接客時に「何がお客様にとって良いタイミングなのか?」を考えながら掴む努力が必要なのです。

たとえば、来店時期(日時)、購入時期も非常に重要な情報です。そこにその人の購入パターンが垣間見られます。まんべんなく頻繁に来てくださる方なら問題ありませんが、限られた回数しか来られない場合、「なぜこの時期にこのアイテムをうちで購入しようと思われたか?」という情報を掴んでおき、それをもとに、だから次はこういうタイミングでこういうものが必要になるかも。また、興味を持たれるのではないか?という一人一人のお客様に対する仮説をもとにアプローチする丁寧さがこれからの時代、より必要になっています。

また、次のライフイベントに関連する情報を意識的に掴んでおくことも重要です。
小学生のお子様がいらっしゃる方であれば、学校の行事予定、おけいこ事関連について「~などもおありになってお忙しいんじゃないですか?」など当て馬的に聞いておくと、徐々にライフスタイル・ライフイベントやその中で重視しているものが見えてきます。
そのタイミングで必要となりそうなもの、関心がありそうなものをご案内することで、単に直接的なお戻りを狙うというだけではなく、
「私の話したことをそこまでしっかり覚えて考えてくれている」
「今回は必要ないけど、いつもそうやって親身に思ってくれている」
という印象を丁寧にお客様の心に足跡として残していけます。

展覧会でこのエリアに来るとおっしゃる方であれば、お好みの展覧会の予定などを頭に入れておき、「次の~の展覧会はお越しになるのでしょうか、その際には是非お立ち寄りください」と出すことで、「個人として待っていてくれる」という気持ちをお客様に感じていただけます。
そして、それはお客様にとっては「あのお店には親しみをもってお話ができる人がいる」という心のプレゼントにもなります。

DMもこちらの配慮次第で、お客様の心を弾ませ、余韻を再度思い起こして頂ける重要なツールとなります。
それだけに出す側には負荷もかかりますが、顧客づくりは楽をして一朝一夕にいくものではありません。だからこそ、同じ努力をするのであれば、お客様お一人一人の顔を思い浮かべながら、受け取ってハッピーな表情になっている場面を自分でイメージしながら行う方が、自分もハッピーになれる。そういうハッピーの輪こそ、次のご来店につながる真のアフターフォローと言えるのではないでしょうか。

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