ラグジュアリーブランド店長ブログ

Z世代から学ぶこと(Z世代の購買特徴と対応法):ブランド店長問題解決講座(35)

■Z世代の購買特徴

Z世代はデジタル(ソーシャル)ネイティブと言われるようにTiktok,YouTube,Instagram,LINE等が生活していく上で欠かせなくなっている世代です。
こと購買に関しては、「豊かな時代に育っている」ということと「デジタルが生活の中に入り込んでいる」という2大特徴が大きな影響を及ぼしています。
そしてこの購買傾向は主流化、加速化していくと考えられています。

より具体的なZ世代の購買特徴として以下、代表的な項目を4つ挙げます。

①単に流行っているから、だけではなく自分や自分が信頼する人たちの価値観とマッチしているもの、ハッピーと感じるものを選ぶ
(情報に振り回されたくない、賢く買いたい、という気持ちが強くなっている)

②モノがあふれるだけに、「体験」の方が価値としてかけがえがない、という考え方が強い
(どんな買い方をしたか、買う時にどんな体験をしたか、をシェアする傾向)

③ビジュアルコミュニケーションを重視する

④ソーシャルグッドも考慮する
(モノが持つ人の価値観を反映する象徴となる)

実際に20代の人たちに聞くと
「こだわるところ、そうでないところは区別している。たとえば私の場合バッグにはこだわる。なぜなら持っていて“気持ちが上がる”モノが必要だから。私にとってはそれがバッグ。だから多少高くても長く使えるいいものを選ぶ。それ以外はさほどこだわらないから、ファストファッションでもいいかなと思っている」
「僕はジャケット。そのブランドの歴史やこだわりが好きだから。大事に着ている。洋服自体は持っている数は少ない。だからこそこだわるし、それを着るときは気持ちがいい」

「私はパーソナルカラーにこだわる。自分に合った色を中心に選ぶし、素敵に色を取り入れているスタッフの人を見ると、興味がわく。カラーについていろいろ教えてほしいなと思って」
「友達とお揃いのモノを買いに行って、それを着て写真を撮るのが楽しい。モノはその時の気分で決める」
など、気負いなく話していますが、“自分のこだわり”は明確で、バブル時代のギラギラの20代を知っている私からすると、“さりげない中にある自然体に近い個性”という印象です。
もちろんそのこだわりも時間と共に変化していくし、感性も変わっていきます。だから面白いと感じます。

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■販売スタッフはお客様と関係を構築する”エンゲージメント・クリエイター”!具体的な接客法とは?

人間は社会的動物である以上、上記のように自分の価値観を大切にする一方、人からどう見られるか、ももちろん気になりますし、浮き上がりたくない~目立ちたいという中を揺れ動くのも人間の心理です。
ファッションは特に誰からどう見られるか、その中で自分が大切にしたい価値観とどうバランスをとるか、それを考えると「どれがいいのかな」「本当にこれでいいのかな」と決断に迷いも出ます。
考えてみると、これからの販売スタッフの仕事はそういう迷いに対し、しっかり寄り添って「だからその決断で間違いない」「こう判断する方法もありますよ」というアドバイスをする存在といえます。

だからこそ「新商品です」「お似合いです」「人気です」が先にありきではなく、

①お客様にはまずリラックスして空間、商品、ブランドのコンセプトが感性に合うかどうかを見て、触って感じてもらい、観察と気軽な会話の中でその人のこだわりを掴むことが接客の前提となる。

②掴むだけでなく、そのこだわりに共感を示す。それによって「このスタッフは自分の言わんとしていること、感じていることをきちんと理解してくれる」という気持ちになっていただき、より価値ある体験を提供する。

③それを踏まえて、お客様のこだわりの世界を深めたり広めたりするための情報を提供する。
その際、目に見える部分だけでなく、むしろ見えない部分(背景にあるブランドの理念や製造過程などのこだわり含む)もしっかり伝える。

④そのうえで、お客様の決断に対して自信を持てるよう背中を押したり、迷いに対し気持ちのバランスをしっかりとれるよう具体的な根拠に基づくアドバイスをする。
という接客がますます重要になっていきます。

また、スマホのスクロールが当たり前の時代、ビジュアルで「パッ」と目に入って「いいな」と思えばより情報をとろうとしますが、そこでスルーしてしまうと接点が消滅してしまいます。
ゆえに販売スタッフ自身が“ビジュアルコミュニケーション”の重要な担い手であることを改めて自覚することも大切です。
たとえばお客様のパーソナルカラーを踏まえて何がどうお似合いかを説明するだけでなく、iPad等を使って、お客様がでかけるシチュエーションを踏まえてその背景画像とのバランスもイメージできるようコーディネートで見せる、などデジタルツールを活用してイメージの世界を広げ共有することが接客の体験の豊かな演出につながります。
また、自分自身もお客様から見て「カラーコーディネートのバランスがいい」「この人ならわかってもらえそう」と感じてもらうためのイメージ戦略も必要です。

これからの販売スタッフは単なる販売員ではなく「クライアント・エンゲージメント・クリエイター」であるという自覚をもってお客様と深くかかわれば関わるほど、個々のお客様のこだわりから学ぶことも多く、それがまた自分自身の世界観を広げることにもつながる、など、まさに広く、深いやりがいのある仕事になります。
と同時に、店長自身は、夢をもってファッションの世界に入ってくるスタッフに「クライアント・エンゲージメント・クリエイター」というモデルを提示し、育てていくことがブランドの価値を高める上でも重要ミッションと言えます。

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