■「できないこと」より「できること」に目を向ける大切さ
コロナで、休業を強いられた際、これを機にZoomなどのオンラインによる接客(コミュニケーション)に切り替えた店舗も複数ありました。
最初は慣れないこともあって、リアルの接客に比べ、思うように展開できないストレス。するとどうしてもスタッフがオンライン接客に対しネガティブなイメージをもってしまうケースがでてきてしまいました。スタッフの気持ちとして「オフラインが無理だから、仕方なくオンラインで接客しているけど、本当はオフラインでやれれば何の問題もないのに・・」という気持ちが常に邪魔してしまい、なかなかアイディアも出ず、わくわくもしない、という状態に陥るのです。
しかしオンライン接客で逆に顧客との関係性構築で成功した店舗では、店長自身がまずそういう囚われをいったん捨てて、「オンラインで今までにないどんな新たな価値を追求できるのか」とスタッフの意識を切り替えさせたことで、次々新たなことにトライし始めました。早く始めれば、それだけ早くチャンスもつかめます。トライ&エラー&ラーニングで洗練度を上げることができるからです。
■ないない尽くしの時こそ、逆転の発想。「何ができるか?」という積み上げ方式で実験してみよう!
「コロナは大変だったけれど、コロナの経験を経たからこそ、新たな接客の仕方の選択肢を増やすことができた」という店長も多くいます。
たとえば住宅販売会社は、「モデルハウスにわざわざ来ていただかなくても、オンラインで担当員がお客様の要望に応じながら室内を見せて歩き、その間チャットで接客をする」という方式をとりました。そのうえで、興味があれば予約を取ってモデルルームにお越しいただくスタイルです。それによって、コロナ前の接客に比べ、以下のメリットを生み出すことができました。
ご来店数自体は減ったものの、
●ご来店いただく際には「興味の度合い」もある程度ある、という前提で接客できる。
●混雑していない時間を指定して実際に内覧してもらうので、それぞれのお客様にゆっくり見ていただける。
●ある程度情報を共有した上での接客なので、お互いにとって効率的な接客ができる。無駄なく行える。など。
「これがベストがどうかはわかりませんが、とにかくいろいろなやり方を組み合わせて、新たなやり方を模索している」とのことです。
店頭でお客様に提供する価値は「モノ」だけでなく、「より楽しくお買い物をしていただくサービス」です。なにかのきっかけで、これまでのやり方がそのまま踏襲できないから、と言って「これしかできません」では、発展性がありません。むしろあえて「何もできない」というゼロベースであれば、「だったらその中で何だったらできるか?」という積み上げ方式で一つ一つのことを洗い出していく中に新たな発見があります。
たとえば、コロナで「当面は積極的にお声がけするな」と言われているからできない、ではなく、こちらからお声がけする代わりに、「それでもわざわざ立ち寄ろうか、立ち寄って良かった」と各お客様に感じていただくには、何ができるか?を考えてみると
- マスクで覆われがちではあるが、マスクの下は満面の笑みで、あえて目で気持ちを表せないか
- 動画を含むディスプレイの工夫で惹きつけられないか
- 華やかな気持ちになっていただくために装飾含め工夫できることはないか
など、言葉を介さなくてもできることを洗い出してみるのも一つです。
未知の体験は、既成概念にとらわれず新たなことにトライしてみる(もしそれが失敗してもさほど問題にはならない)チャンスでもあります。そういうトライ&エラー&ラーニングの連続の中で、徐々に「こうしたらよい」という新たな規範が形作られていきます。
私たちは、そういうプロセスに参画できるチャンスを与えられているのです。
「誰かが具体的に指示をしてくれるのを待つ」だけでなく、お客様の反応によりアンテナを高く立て、日々の小さな実験を積み重ねていくことが、結局将来の自分たちのありようを形づくっていきます。
当たり前に接客できるありがたいステージを最高のものにするためには、そこで働く店長・スタッフの想いと知恵こそが必要不可欠なエッセンスなのです。
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