ラグジュアリーブランド店長ブログ

「この先どうなるか不安・・」という中でしなやかに対応する店長は何が違う?:ブランド店長問題解決講座(19)

■「この先どうなるか不安」な時の対応法。まずは状況を受け入れることからスタート!

想定以上に猛威を奮い続ける新型コロナの影響によって、多くの店舗が一時休業をよぎなくされました。
春は何かと新しいスタートで心も浮きたち、買い物客もにぎわう時期だけに、人通りのない銀座や表参道の光景は何とも異様でした。
しかし、これも「みんなでコロナの脅威を一日も早く脱しよう!」という協力の表れであり、ある意味国を挙げて真摯に制約を受け入れている象徴でもありました。震災・リーマンショック・今回のコロナと、実際、生きているといろいろなことがある、ということを改めて実感します。

しかし、これらの襲いかかるリスクは個々ではいかんともしがたく、抵抗したところで状況が変わるわけではありません。
且つ「この先どうなるのだろう・・」と不安がるだけでは何も生みだせません。
誰しも不安はありますが、「この先~ということがあっても生きていけるようにしよう」「そのために今できることをやっておこう」と気持ちを切り替えて打ち込むものを見出し、行動化したほうが与えられている時間を自分にとっても周りにとっても意味あるものにできるのではないでしょうか。

■自分が本当にやっておくべきことを考える

新型コロナはどれだけガードしているつもりでも、誰でもかかるリスクは存在します。
そのような中、「もしも不可抗力で自分がかかってしまい、その時に病院のベッドが空いていない、手遅れになることもありうる」という最悪を想定した場合、逆に「では一方で、万一それでも少しでも後悔のないようにするには、せっかくのこの時間をどう使えばよいのか」というレベルで考えてみることも重要ではないでしょうか。
ある記事で、新型コロナで自宅隔離の状態に置かれ、本当に苦しい想いをした人が、回復した後「改めて自分の命を懸けてやるべきことは何か、を考えさせられた」とありました。
時間はあっという間に過ぎ去っていく。そんな中で漫然と「時間があってもあまりやりたいことがない」「いつもは仕事をしている時間だが、外出もできず、友達にも会えず、正直もてあましてしまう」「とにかく目の前のことをこなしていればいいか」というのでは時間がもったいないと思いませんか?
このような異常な状態だからこそ、あえて与えられた時間の意義について自分の心と対話してみる機会ととらえてみるといろいろ発見があるものです。
家族と過ごすにしても、ただ習慣だから、ではなく、「せっかく一緒にいられる時間を少しでも楽しい時間、お互いに意義ある時間にするには、どう過ごせばいいか」を考え、行動化することで、相手の笑顔をじっくり見られる幸せをかみしめられる貴重なチャンスにもなります。

■仕事再開後に向けて、できることを探してみたケース

たとえば、あるブランドブティックの店長であるAさんは、これまでまとまった時間がなく、資格試験へのチャレンジにしり込みしていました。そこで、休業時期をうまく活用して、資格試験の勉強を始めました。
「どうせ資格をとっても生かせない」と思うのではなく、資格試験のための勉強をするプロセスで、様々な発見があったり、自分自身のチャレンジ精神、集中力、忍耐力を養ったり、それを証明するチャンスにもできます。もちろん、資格がとれなかったとしても、正しい知識をインプットしておくことで、発言にも自信が出てきます。

たとえば、販売業務に関連するものをざっと上げるだけでも、以下のようなことは仕事にも自分のキャリアにもプラスになりうると、Aさんは考えました。

●リテールマーケティング(販売士)☞ 経営学、マーチャンダイズ、ストアオペレーションなどの体系的知識が身につく
●簿記 ☞ 企業やお店のお金の動きを通して、経営状況の理解を深めていくことができる
●エクセル操作 ☞ 関数、表計算などを学ぶことで、自分で様々なことを分析しやすくなる
●接客英語・中国語 ☞ 楽しくコミュニケーションをとれる、時事関連やグローバル視点の醸成になる
●色彩・パーソナルカラー ☞ 色の理論を学ぶことで、自信をもって提案できる
●他ブランド知識 ☞ WWDニュース、youtubeのMBチャンネルなどを見ると最先端のことがわかる
●ビジネス書 ☞ 様々な状況への対応法が分かる
●映画(ネット・DVD) ☞ ファッションにこだわった映画を観てみる

ただし、これを楽しみながらやることに意味があります。
Aさんも、可愛いキャラクターが出てくるアプリを使って、リテールマーケティングについて対話形式で勉強したことで、飽きずに楽しめたといっています。その背景には、以下のサイクルをうまく回すことができた、という事実があります。

<肯定サイクル>

ここまでもっていければ、あとは自動的に体や気持ちがそこへ向く。気が付いたら苦手だった専門用語も、徐々になじんできて、日々の業務の意味合いの理解も深まり、仕事にもより充実感がでてきたとのこと。ピンチをチャンスにする、ということができる人は、どんな状況下でもたくましく、しなやかに生きていけると感じます。

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