ラグジュアリーブランド店長ブログ

接客は情報収集の宝庫!売上を上げたければ情報活用力を磨くしかない!:ブランド店長問題解決講座(4)

■”情報”こそが価値を生む!情報活用力が売上を左右する時代

リテンション強化、CRM、顧客作り、リピーター獲得、VIP育成、ロイヤルカスタマー数アップ、・・・という言葉が日常的に使われるほど、今の時代は「単なる販売」ではなく、「お客さまの定着化(顧客づくり)」が販売スタッフの重要ミッションになっています。
背景には、日本人の人口減(特に若者)によりパイの取り合いが厳しくなっているという現実があります。
同時に、生き残り競争が厳しい分、これまでと同じことをやっているだけでは今いるお客さまも離反しかねない状況が存在します。
10年前と比べても、たとえば以下のように私たちを取り巻く環境はますます難しさを増しています。

  1. ネットやSNSなどにより幅広い情報を持って買い回りするお客さまが増え、見えない競合他社との競争にさらされている。
  2. モノあまりで、且つモノだけの差別化では難しく、個々にとっての体験価値などのサービスもセットになったトータルの価値で判断される。
  3. 個人情報の管理などコンプライアンス意識が定着し、お客さま自身、自分の住所・連絡先などを残したがらない傾向にあり、その中で関係性を築いていかなければならない。

こうなると店長やベテランスタッフが過去の経験の中で培ってきたノウハウだけでは、新たな動きに対応できません。
個人対個人の関係性構築の本質自体は変わらなくても、アプローチ・コンタクトの方法や、魅力付けの工夫は時代に合わせて新たに創出していかなければならない状況にあります。
その際、重要な武器となるのが、限られた時間で収集した貴重な個々のお客さまに関する定量的・定性的な情報です。
その生きた情報こそが、次にそのお客さまにどう働きかけるのがより効果的か?を示唆してくれます。
すなわちスタッフ及び店舗として「情報をどのように料理するか?」によってお客さまに対する魅力づけ、生み出す価値も変わってくるのです。

従来のようにルーティーン的に購入履歴に基づいて機械的にサンキューレターを出し、DMを出し、新作案内をし、・・・という画一パターンでは逆に嫌われる時代です。
手間はかかっても、一歩踏み込んで個々の購入動機、こだわり、好み、ライフイベント、ライススタイル、使用場面、等々を具体的に把握しているからこそ、の提案は「おや?」と思っていただきやすいし、次の購入にもつながりやすい。
料理人にたとえれば、常に鮮度の高い食材(情報)の目利きをし、努力して集め、それをどのように組み合わせればお客さま好みの美味しい料理(接客)になるかを常に研究するからこそ、お客さまを飽きさせず足を運ばせることができます。
となると、接客を通して収集するお客さま情報の量・質、およびその活用の仕方による差別化が重要な意味を持つといえます。
言い換えると、販売スタッフが扱っているのは、お客さまの貴重な情報、とも言えるのです。
そういう目で接客を見ていくことが、これからの時代非常に重要ではないか?というのがここでの提言です。

■「私向け」と感じさせる接客は何が違うのか?

私ごとで恐縮ですが、現在定期的に通っている歯科医院は、担当の衛生士の方が継続的にチェックをしてくれます。もう通って2年になるから本来心の距離が縮まって良いはずですが、当初と特に変わってはいません。毎回30分から1時間、直接チェックをしてもらい、私の歯に関しては私以上に実態を把握している存在ですが、マニュアルに則ったやりとりで毎回終わるため、私自身も親近感は感じないし、もし「担当が変わった」と言われても特に何も思わないでしょう。
一方、引っ越す前に数回通った歯科医の衛生士は、チェックをしながら、私自身の仕事内容や共通話題について声をかけてきました。最初は「治療に専念して欲しい」と思っていましたが、徐々にリラックスし、その人への興味も出てきて、その衛生士が不在だとちょっと淋しい気になったものです。引越した後もそこから定期チェックの案内のハガキが転送されてきて、「お待ちしてます」と手書きで書かれているのを見ると、「この近隣にあれば継続して行っていただろう」と思ったりします。
歯科医院はコンビニ店舗よりも数が多いと言われ、淘汰の時代に入っています。
プロとして、患者の歯の状態に関する情報を正しく蓄積し、その変遷を通して今後どのような方針で行くかを適切に判断、リードすることは必須です。しかし、今の時代はきちんとそのレベルの情報は管理されるシステムが整備されています。
となると、その上を一歩行く情報の収集・活用によって心理的にどのような影響を与えるかが差別化の重要なポイントになります。

販売スタッフも同じで、購入履歴はインプットされ、蓄積されています。しかし、大切なのは「いつご来店で、何を買った人か?」以上に「なぜうちのお店で、この時期に、これを購入になったか」「何にこだわっている、何を気にしている、何を望んでいる人か」「ご来店の際とは違って、普段は何をされて、どういう方々と交流する人か」など、数字では表れない、人としての背景情報であり、それをさりげなく共通話題にしていくからこそ、「One of them」として”さばかれている”わけではない、という印象を刻めます。

しかし、このちょっとした差を生むためには、実は見えないところで、記憶力に頼るだけではなく、何倍もの努力がいります。
目の前のことだけでなく、「次にまたお話しするときはこういう話題がいいかも」と次のステップをイメージしながらアンテナを高く立ててお客様と話をしているかどうかも重要です
そういう努力があってこそ、差別化につながるのです。

■販売スタッフは”情報を扱う達人”に!

シビアに言うと、今の時代は「情報がお金になる」という社会です。
スマホが私達を捉えてはなさないのは、魅力的な情報、自分に役立つ情報、鮮度の高い、あるいは共感性の高い様々な情報が詰まっているからであり、アクセス数が多いところにスポンサー(お金)がつき、発信者・受信者ともにメリットが生まれます。
オンラインの販売サイトでは、個々がいつ、何を何秒見て、何と比べたか?などの閲覧・購入履歴がそのままマーケティング情報として活用される。それもあって、売上は右肩上がりに伸びています。

では、リアル店舗ではどうでしょうか?
以前は「商品知識」がプロとして求められる情報でした。しかし、今はその情報もお客さまと同等か、時に追い越されてしまう時代でもあります。そのような状況で、「販売スタッフが発信できる価値ある情報は何か?」となると、一般論ではなく、お客さまをリラックスさせ楽しませる、あるいは個々のお客さまにとって役立つ、あるいは共感や親近感をわかちあったり、感情を揺さぶられるきっかけとなる情報です。そのためには、お客さまをよく観察し、見える情報・見えない情報を上手に扱う必要があります。

となると、商品の勉強だけではなく、観察力を磨く、幅広い話題に対応できる、より深いファッション等の知識、・・-あたりまえのことですが、引き出しをたくさん持ち、日々更新していくことが、魅力を増す上でいよいよ重要になっています。
単に「販売する」だけでなく、「関係性を構築できる魅力を持ったスタッフを育成すること」が店長に求められる役割にもなっている現在。それを感覚論ではなく、「どの角度で、どのような情報を集め、どのように活用すると効果的か」を一緒に研究し、ともにレベルアップしていくことが顧客基盤の強いお店作りの近道といえます。

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