ラグジュアリーブランド店長ブログ

信頼される店長とそうでない店長を分ける4つのハードル(前半):ブランド店長問題解決講座(44)

■店舗運営の成否を握るスタッフからの信頼

店長として期待される成果を出すにあたって「スタッフからの信頼ほど大切なものはない」と言っても過言ではありません。
なぜなら、スタッフから信頼されていれば以下のことがスムーズに行くからです。
・店長が打ち出す目標に向けて納得感をもって行動してくれやすい
・指摘に対して素直に改善しようとしてくれる
・店長が困っているとき、積極的にフォローしようとしてくれる
などなど。

スタッフが店長を信頼する心理とは、言い換えると「この店長は自分たちをハッピーな方向に導いてくれる」「だからこの店長が期待する方向に動くことは自分にとってもプラスに働く」という気持ちではないでしょうか。

スタッフであれば当然「信頼できる上司の下で働きたい」という欲求はあります。主な理由として上司は
①自分の評価者である
②日々の働く意欲に多大な影響を与える
③自分の将来やキャリアにも少なからず影響を与える
存在だからです。

だからこそ「上司として本当に信頼できるのか?」ということに対しシビアに見ている面があります。

部下からの信頼を得たければ、店長はそういうスタッフの心理を踏まえて日々の接し方を工夫する必要があります。

では、何をどう工夫すればよいのでしょうか?

信頼を得るプロセスに横たわる「4つのハードル」を意識し、それを乗り越える工夫をすることでより効果を高めるやり方があります。
それを認識しておくと、「部下に嫌われていないか・・」「これをやって嫌われたらどうしよう・・」などの不安やストレスをため込む方向ではなく、「やるべきことをやっている。その結果を見ながら改善しよう」という前向きなエネルギーの使い方ができるようになります。

■意識すべき4つのハードルとは?

信頼を築くにはまずスタートが重要です。スタッフは新しい上司に対して「どんな人かな」と興味を持たざるをえません。また第一印象はその後も尾を引きます。そこで店長としてはスタッフに対しどういう第一印象を持ってもらいたいかを考えて、そのような出方を意識的にすることが大切です。

【ハードル1】どんな上司かな?(できれば感じのいい人であってほしい)ー その期待に応える出方をする

たとえば、「やわらかい表情」「自分から挨拶」「謙虚な姿勢」など、接客時と同じように意識することです。中には「そんなことをしたら部下からなめられてしまう。最初にびしっと緊張感を与えた方がいい」という考えの人もいると思います。しかし、部下からなめられないように、という気持ちで対応して良いチーム作りができるわけではありません。部下のパワーを開放するためにはむしろ「感じが良さそうで安心した」という気持ちになってもらう方が心理的距離を縮められるのです。

 

【ハードル2】上司として基本的にやるべきことをきちんとやる人かな?(そうであってほしい)ー その期待に応える出方をする

ハードル1を超え、部下としては「感じは良さそうでほっとした」と感じる一方で「上司としてどうなんだろう」という不安は消えてはいません。できれば「なんだ。上司としてがっかりだ」ではなく「基本的にやるべきことはきちんとやる人だな」と納得して働ける状況を期待しています。

”何をどこまで”という期待値レベルはスタッフによって異なりますが、ある程度経験を積んだスタッフを前提に考える必要があります。ベテランスタッフがどう受け止めるかで他のスタッフの心理にも影響を及ぼすからです。

一番の近道は「会社からの期待」を背負って店舗を任されていることから、「この店舗をお客様にとっても、スタッフ皆にとってもこういうお店にしたいと思っています。そのために私としてもひとつひとつやるべきことをしっかりやっていきます」という意思表示をすることと、店舗管理者としてやるべき業務を実際にやって見せることです。

中には店長としての経験が少なく、それ自体難しいというケースもあります。その際は「できるだけ早く皆に安心感を持ってもらいたいので、自分でも努力しますが、もし気になることや言いたいことがあったら、遠慮せず率直に私に言ってください。修正が必要なところは速やかに修正・改善します」と約束し、それを実行することです。


時々「弱みを見せたら部下から馬鹿にされる」とベテランスタッフに負けじとけん制する人もいます。それはそれで成長は早いと思いますが、「信頼に基づく良好な関係づくり」を狙うのであれば”勝ち負け””プライド”ではなく「お互いに強みを発揮し合い、弱みをカバーし合いましょう」というスタンスで接するほうが効果的です。
人は”鏡の法則”で動きます。
全てにおいてスタッフをしのごうとすることで、スタッフは逆に「威厳を示したいのだな」と受け止め、「自分でできるのなら、自分でやってください」という気持ちにもなります。そうではなく「店長として私ができることはやります。ただ皆さんの力がどうしても必要なので、それぞれこの点についてはこのように協力をお願いいたします。皆でいいお店にしていきましょう」という店長の方がスタッフのプライドも満たせるとともに、パートナー意識を芽生えさせるきっかけになります。実際に成功している店長を見るとそういう出方をしているケースが圧倒的に多いと考えます。

ハードル2を超えてほっとしたところで、さらに【ハードル3】【ハードル4】が続きます。
その乗り越え方については次回のブログで共有したいと思います。

信頼される店長とそうでない店長を分ける4つのハードル(後半)

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