ラグジュアリーブランド店長ブログ

環境・未来は自分たちで創る!店舗でできるSDGsの3つの取り組みとは?:ブランド店長問題解決講座(41)

■SDGsが持つ意味 ー 環境・未来は”与えられるもの”ではなく”自分たちで創るもの”

歴史上、人間は環境との共存・格闘・活用・破壊・再生等々を繰り返してきました。
今の当たり前の生活を振り返ってみても、「人工物」といえども、その素材や製造プロセスをたどれば、何かしら自然に存在するものを採取・加工していると言っても過言ではありません。
だからこそ、ナチュラルリソースは皆が欲しがるものであり、時にはそれが戦争に発展することもあります。
また採取し続けることで砂漠化をはじめ、多くのネガティブなインパクトが着実に広がっています。
地球単位で見れば数百年など一瞬ですが、その一瞬の中の人間の活動によって地球が悲鳴を上げています。

一方、人間同士の関係性で見ても本質的に欲する自由・公平・安心・安全も格差が広がっています。一人一人がSNSなどを通して発信するパワーを持つようになると、今まで隠れていた面も表に現れ、その根の深さが露呈しています。

これらの現象は昨日今日始まったものではなく、産業革命以後科学技術の発展とともに重ねてきたものであり、人間格差においてはおそらく相当に長い年月消えることなく継続しているものです。

しかし、今問われているのは「この流れは慣性の法則上、止められるものではない」とするのか、「未来は自分たちが創るものであり、取り組み方によって変えられる」と考えて行動に移すかどうかです。

これまでもこういう議論は生まれてはすたれ、の繰り返しでしたが、コンピューター技術を含め様々な新技術をもってすれば実際に実現可能、という見通しが立ったことで勢いづいています。技術を地球にとって人類にとってプラスに活かせるか、もちろんそこには政治的な意図も絡んでくるので一筋縄ではいきませんが、「まず一人一人が足元から、できることをやろう」という運動がパワーになる時代です。私たちの意識・行動の変化が明日につながると信じて、できることを探してみましょう。

■店舗でできるSDGs3つの取り組みとは?

では足元で何ができるのか?私たちの仕事や生活と大きくかかわる項目の一つは「つくる責任 つかう責任」です。

今販売しているものも、自然(動物・植物)の素材を原料にしているものが多くあります。ゆえに、多くの企業では自然のマイナスの負荷を減らすべく製造・輸送プロセスの見直しを行っています。しかし一朝一夕にすべてがうまくいく、ということはありません。実現にはお金も時間もかかります。包装の仕方一つ変えるのでも、サステナブルを前提に多面的な視点で検討を重ねなければならない、という現実があります。
且つ、その間にもお客様の価値観や意識は変わっていく可能性がります。
そこをつなぐのが店舗の役割といえます。

そこで、たとえば以下の3つは店長として必須の取り組みといえます。

情報収集:自分ランド・会社が発信しているSDGsに関するメッセージとその背景を正しく理解する。理解できないところはきちんと聞いて腹に落とす。

共有:スタッフと会社のSDGsの考え方について共有する。スタッフもそれぞれ価値観が異なることから、長期的・大局的な視点を踏まえてその重要性を落とし込む。

具現化:具体的にお客様にどう伝えるとご理解を得られたり、価値が高まるか、トークを洗い出してみる。それを練りこむ中で、SDGsへの信念をさらに醸成する。否定的な反応も事前に想定して、対応マニュアルを作成しトーク練習をする、見せるツールを整備する、など自信をもって伝えるためにやるべきことは多々出てきます。実際にやりながら足りないところを一つ一つ埋めていく、という地道な取り組みが求められます。

ブランドの強さは強みとなるコアをもちつつも、常に時代の変化を読んでそれをうまく取り込み、新たな価値につなげてきた柔軟性です。だからこそ生き残っていられます。
変化は常に追い風になるモノではなく、その瞬間には逆風に思えるものもあります。

たとえば毛皮。有名ブランドで歴史的にも毛皮製品がアイコンになっている中、それを捨てることはいかに大きな決断だったか。しかし、あきらめて終わり、ではなく、新しい道を模索し、さらに強くなる。その繰り返しです。
しかしおそらくその決断の前には店舗のスタッフもお客様から「おたくは動物の毛皮を扱っていて平気なの?!」と責められることもあったでしょうし、毛皮をやめると決断した時には逆に既存のお客様の中には「なぜ?このブランドのファーが好きだったのに・・」と離れていった方もいたでしょう。その時にしっかりとブランドの哲学、会社の方針をお客様に合わせて伝えられるかどうかがブランドの信用に直結します。

変化が激しいからこそ、その変化を直接お客様にポジティブに語れるパワーを持っているのが、店舗スタッフなのです。

そのためにも、店長はただ「会社の方針だから」という受け身の姿勢ではなく、スタッフと会社が打ち出す方針の意図、その背景にある環境変化、そしてお客様に対する中長期的なインパクトについてしっかりと話し合い、ブランドとしてぶれない軸を再度共有するチャンスにする必要があります。SDGsの取り組みは、店長にとって柔軟な考え方、スタッフへの方針浸透力、お客様への真摯な向き合い方を鍛える絶好の機会とも言えます。

★前回のブログはこちら 自ブランド・自社のSDGsの取り組みをきちんと把握しよう!①

★お勧め本→『新しい店長のバイブル~業績を上げ続ける店舗はこうして創る!』(PHP)

★ラグジュアリーブランド研修についてはこちら→ラグジュアリーブランド研修シリーズ

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