■リテールマネージャーに対し、店長として説明責任を果たしていますか?
店長は「チームの成果(結果)」に対する責任を持つ、ということは当たり前ですが、実はそれ以外に以下の2つの重要な「説明責任」があります。
①結果(プロセス)に対する説明責任
②今後の対策に対する説明責任
グローバル化が進み、ビジネスの仕方について、改めて世界の基準で見直す必要が出てきていますが、海外のビジネスパーソンから見ると、無駄に感じるぐらい「ホーレンソー」にうるさい日本人が、なぜかこの「説明責任」については認識が浅いということが気になるようです。
一見些細なことのようですが、この説明責任が意外に大きな差を生んでしまいます。
そこで改めて店長としての説明責任を自覚しているか、していないかによってどのような違いが生まれるのかについて考えてみましょう。
■店長が説明責任を果たすと果たさないではこんなに違う!
上記の①にあたる「結果(プロセス)に対する説明責任」を果たすとは、要するに「なぜこういう結果に至ったか」を客観的且つ論理的に第三者に根拠をつけて説明し、納得を引き出す、ということです。(弁解・言い訳ではありません)
ということは、その前提として、
a. 数字につなげるための明確なシナリオを描いておくことが必要です。
b. そして、そのシナリオに沿って行動した結果、実績(結果)が生まれます。
c. もしそこにギャップがあれば、そのシナリオとの比較で要因を分析できます。すなわち、「そもそものシナリオ自体に問題があったのか」、「ギャップを認識するタイミングが遅すぎたのか」「対応の判断・対策に問題があったのか」等が見えてきます。
d. だからこそ、③の「今後の対策に対する説明責任」=「次に何をどう見て、どういうシナリオで動くべきか、想定外のことがあればどうすべきか」を果たせます。
店長が自覚をもって説明責任を果たすメリットとしては以下のことが挙げられます。
①第三者に明確に共有できるということは、組織としてのナレッジ(有益な情報、ノウハウ)になって積みあがっていく、ということを意味する。
②あなたの上司も、その上の上司にきちんと状況報告ができ、組織としてどう対処すべきかという提案にもつなげられる。
③そこまできちんとやってこそ、店長自身、関係者からの信頼も得られる。
④同時に、スタッフの取り組み対する公正な評価にもつながり、モチベーションを保つことができる。
逆にその自覚がなく、説明責任を果たさないと、がんばっているつもりでも損をしてしまうことが多々でてきます。たとえば
①結果について聞かれても「いろいろ努力したんですが・・・」「思ったより天候が悪い日が続いて客数が伸びなくて・・」というレベルで終始、時間の無駄を生むだけで、信頼も地に堕ち、店長としての成長も望めない。
②結果的に適切な協力を引き出せない。
③組織としてもせっかくの経験を踏まえたノウハウの蓄積が起こらない。
あなたからみて、もし部下であるスタッフがこの説明責任を認識し、果たしてくれたら、組織運営はどれほど効率的・効果的かを想像してみると良いでしょう。
■今こそ改めて店長の説明責任を見つめなおしましょう!
新型コロナにより、世界も個人もほぼ経験したことのない状況に直面しています。
しかし、だからこそ、お互いに経験から学びあい、今後のノウハウの基盤にする責任があります。
そのためにも、改めて店長として関係者に対し「2つの説明責任」を果たしているかを点検してみましょう。
先日話をしたあるブランドの店長は、「売り上げは正直厳しいです。ただ、“コロナだから仕方がない”に流されてしまうと、新しいデジタル化の流れにも乗り遅れて、自分自身が今後通用しない人間になってしまう危機感はあります。ですから、ライバル店の店長がやっていそうなことで、自分がまだやれていないことはないか?などの情報を貪欲にとってダメ元レベルでチャレンジして、うまくいったことはきちんとポイントと根拠をまとめて上に報告します。
それによって、逆に結果だけでなくプロセスにも注目してもらえて、スタッフの頑張りも上に伝えられます。
同時に、そこから新しいやり方の芽もでてきています。
私の責任は、スタッフ自身も喜んで新しいことに挑戦し、それをきちんと理解してもらえるよう関係者に説明し、この危機を一緒に乗り越えることです」と言っていました。
リテールの新たな未来への道づくりをしっかり行っていくのは、周りを巻き込む発信力を持った店長なんだ、と頼もしく感じました。
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