新たなスタンダード(new normal)とは?
新型コロナの影響によって、これまでの世の中の「当たり前」のいくつかが「当たり前でない」状況になっている。
“社会的距離の確保”“マスク着用”“こまめな消毒手洗い”から“オンラインサービス強化”に至るまで、様々な分野で「人との接触」を削減することを前提とした新しい規範が求められている。
これは一過性のものではなく、ワクチンの普及によってインフルエンザのように新型コロナへの対抗策がしっかり浸透するという状況を創るまでは回避できない。
となると、「店舗が再開したらまた以前と同じようにお客様との距離を縮め、親しく会話したり、商品を提案、購入いただく」という前提で物事を考えていると、大きなギャップに苦しむことになる。
社会的距離はもちろん、ドイツやフランスのようにマスク着用が義務となれば、どうしてもお客様の表情を読んだり、こちらの想いを伝えるにもハードルは高くなる。
私たちだけではなく、お客様から見ても、お店での体験は以前とは異なるものになる。
すなわち、これまでは、いろいろな店舗を回り、素敵な商品を目にし、自由に手に取り、スタッフの明るい接客を受け、・・そういうプロセスの中で様々な刺激を受け、気持ちも豊かになっていく。そういう時間が大切だと思うからこそ、足を運んでくださっていた。
しかし、せっかくお店に行っても以前のようなサービスはなかなか望めない、という現実が新たに待っている。
そのまま放置すれば、店舗を再開したとしてもお客様とスタッフの間でも「以前は良かったですよね」「~しかできなくてすみません」「~も許可されていないのでできません」という言葉しか出てこなくなるおそれがある。
店舗がクローズしてみて改めて日々の仕事の充実感やお客様との交流からいただく刺激のすばらしさを実感している人も多いと思うが、待ち望んだオープン後、いったい何が待ち構えて、それに対して新たな価値を生み出していくためには、店長として何を考えておかなければならないのか?
今はその準備期間ともいえる。
「どうせ~はできない」と考えるか、新しいスタンダードに挑む時期だからこそ、何か新しいやり方を考え、提案してみようと思うか、それも店長によって差が出るところである。
たとえば、「マスク不足」が深刻になった際、
・「材料すら売り切れているから、どうしようもない」と考える人もいれば、
・YouTubeに投稿されているように、「ハンカチやあるものを使って、当座のマスクを手軽に作ってみよう」という人
・「どうせ作るなら「かわいい」ものをつくって困っている人にプレゼントしてあげよう」という人
様々である。
まずは、「何ができるか?」というスタンスに立って発想することから始めてみよう。
店長として持つべき2つの視点とは?
そのうえで、以下の2つの視点で考えてみることも大切である。
①インタラクティブマーケティング(スタッフのお客様対応)
巣ごもりと言われるように、行動規制を強いられていたお客様が、ようやく店舗に来て商品をみたり、触ったりして買い物ができる。
その際、少しでもお客様のワクワク感を盛り上げたり、「安心して買い物ができる」「お店に来て本当に良かった」と思っていただける自店でのサービス(体験価値)とは何だろうか?店長としてゼロベースで改めてアイディアを巡らせておくことが必要である。
商品は限られているかもしれないが、改めて「商品の見せ方」「個客ごとのアプローチの仕方」「お勧めの仕方」などを「自分だったら・・」という気持ちで考えてみよう!
お店としてのサービスを実践するのは一人一人のスタッフである。
新たな環境下でスタッフも戸惑うことも想定される。
しかし、「人との接触」にある意味飢えていると想定される状況で、スタッフがお客様に与える影響力は従来よりも大きいと言える。これはある意味大切な接点である。
だからこそ、一人一人のスタッフがお客様に対し、具体的にどのような対応をすべきかを考えておくことが求められる。
②インターナルマーケティング(店長とスタッフとの信頼関係構築)
急な休業で、今後の雇用状態等について不安を持っているスタッフもいると想定される。
オープン後も「本当に大丈夫だろうか」という気持ちになるのも当然である。
しかし、不安がっているだけではお客様に対し安心感を与えるサービスはできない。
店長はそういうスタッフの気持ちをケアする役割も担う。
会社や取引先とこれまで以上に今後の動向情報をより積極的にとっていくとともに、逆に環境に振り回されずに自分の強みを活かしていくためには何をすべきか、スタッフのキャリアについても考えてもらうチャンスにしていくことも可能である。
その際、店長としてのスタンスが相手に影響を与える。
時間がある時に、自分自身のこれからの在り方(スタッフにとってどのような店長でありたいかなど)を確認し、そのために必要なことを洗い出しておくことも重要である。
「時間がある」という点を活かして、以上の2つのポイントに関し、自分で情報収集しておくとアイディアもわきやすい。
たとえば、ロックダウンの中でも生活を楽しむために他国の人も含めてたとえば何をしているのか?や、異業種でも何を工夫しているのかを調べてみるといろいろな発見や気づきがある。
人間はある意味タフだからここまで生き残って繁栄している。転んでもただで起きないのが人間である。
私たちもその一人である。
長期戦になりそうな気配ではあるが、この大変な状況を貴重な体験にするためにも、受け身ではなく、どう共生しつつ乗り越えていけるか、それは新型コロナや社会に対してだけでなく、自分自身への挑戦でもある。
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