ラグジュアリーブランド店長ブログ

できる店長の「自立的に行動するスタッフ育成法」とは?:ブランド店長問題解決講座(96)

■ルーティンや指示したことはきちんとやってくれるが・・もうワンランク上を期待した時、店長がぶつかる壁とは?

店長を対象にスタッフに関する悩みを聞くと「指示したことはきちんとやってもらえるけれど、それ以外、あるいはそれ以上を貪欲に狙おうとしない。自分からすすんでやろうとすることもない。ただ、これをやってほしい、と言えば素直にやってくれるから、やればできるのだけれど・・」という声がたびたび挙がります。問題を引き起こすスタッフに比べれば、贅沢な悩みかもしれません。しかし、当の店長にとっては、見ていて”もったいない””もどかしい””物足りない”という気持ちがふつふつ湧いてくるようです。

そこで、なぜそういう状況が生まれてしまうのか?を当の店長に考えていただくと以下のような要因が挙がります。
①そもそも上昇志向があまりなく、仕事は仕事、と割り切っていて欲がない
②でしゃばったり余計なことをして、と言われるリスクを冒したがらない。安定志向だから
③自分がやらなくても店長がやってくれる、必要なら指示をしてくれるという依存心があるから
④ある程度それでうまく回っているのだから、何が問題かがわからない。そもそも問題意識がない
・・・
確かにスタッフ側にそういう面がないとはいえません。しかし、この要因分析はいくつかの重要な視点が抜け落ちており、残念ながら結果的に問題解決にはなりません。
では何が足りないのでしょうか?

■できる店長の乗り越え方とは?-スタッフは部下ではなく共に目標に向かう同志(パートナー)!

そこで、できる店長は、こういうスタッフの言動が見られた場合、どのように対応しているのか、その考え方を聞いてみました。
まずは「その気持ちよくわかります。私もそういうことで悩んだことは多々ありましたから」という前置きがあり、以下の考えをシェアしてくれました。

●スタッフが安定志向というのは当たり前かもしれません。なぜなら、多くの人はリスクよりは安定を好むし、下手に出しゃばって店舗の空気がおかしくなると、すべてにおいて影響が及んでしまうからです。だから、バランスをよく見て、余計な波風を立てないように、というのはむしろお店のことを想ってかもしれません。

●店長の立場で自戒しないといけないのは、無意識につい《自分の強みの物差し》を相手に当てて、良い、悪いを判断しているということです。店長に指名されるということは、何かしら会社に評価されているということです。おそらくそれは仕事に対して非常に積極的で、自分からアプローチしたり、店舗のためを思って何ができるか創造的に考えて貢献したり、そういう点が認められてなっている。ただ、そういう視点でスタッフを見ると、無意識に「もっと積極的にこうすればいいのに、なぜしないの?」という、自分の強みで判断していることが往々にしてあります。

●しかし、価値観や強みは人それぞれで、一面的にいいとか悪いとか決めつけられるものではありません。店長の強みの物差しから見ると物足りないと映っても、違う物差しで見れば評価も変わってきます。例えば「何かに取り組む際、まず慎重を期す。その分、成功率が高い」「創造的なアイディアを出すのは苦手でも、現実に落とし込むことにたけている」など。その上で、その強みをどう生かすかを考えることがより店舗を強くするのではないかと思います。

●あとは、究極「何のために、ワンランクアップが必要か?」をとことん考えて共有することが大切です。「あなたの成長のため」「店長になってもらうため」「店長の私が助かるから」というのであれば、「別にこれ以上成長する必要性を感じてないし、店長になりたいわけでもないし」という壁にぶつかります。それを否定もできません。大切なのは、チームとして、です。チームとして現状のままではなぜ難しいのか、何を目指しているのか、そこを丁寧にすり合わせて、そのためには、各自がワンランクアップを狙う必要がある、という店長なりのストーリーテリングをしていくことが大切ではないかと思います。

とのことでした。

■スタッフにワンランクアップを促す2つのポイント

できる店長の話から、スタッフにワンランクアップを促すための2つのポイントを整理すると・・

1.店舗(チーム)が目指すもの(ビジョン、ありたい状態)が、チームメンバーにしっかり落とし込まれ、やりたい・やろう!という気持ちになっている

➾それがあるからこそ、現状満足ではなく、さらに上を追求する必要があり、自分だけでなく、チームメンバー全員がチャレンジし続けることが大切という価値観が共有され、好き嫌いではなく、「必然性」が生まれるのです

2.多様な物差しでスタッフの強み・弱みを洗い出し、強みをどう生かしてもらうか?弱みを強みに変えることは可能か?弱みをどうカバーし合うか?を考えて、チャレンジ課題を設定する

➾自分の強みの物差しだけを当ててスタッフに期待したり、できる・できないを判断するのではなく、チームを強くするという目的に向けて、スタッフの活かせる強みを明確にし、そこに向かってチャレンジしてもらうようにする

■自立的に行動するスタッフ育成の5つのポイント-日頃のコーチングがカギ!

「自立的」の反対は「依存的」「従属的」あるいは「他律的」です。人の指示に従うことは、窮屈な半面、いろいろ考える必要はありません。また、責任は指示した側にある分、気も楽です。ただ、そこにどっぷりつかっていると、いざ抜け出そうとしても切り替えるのは実はそう簡単ではありません。

「冬場の露天風呂」現象と言われますが、適温に使っている時間が長いと「もう出よう」と思って少し立ち上がる。すると”あ、寒い”と感じる。ゆえに、すぐにしゃがみこんで元の温かさに戻ろうとする。しかし、いつまでも浸かっていると、最終的にはのぼせてしまって立ち上がれなくなってしまう。
そうならないよう、店長は日頃からある程度の寒さに慣れておいてもらうようにしないといけません。
そのためには、以下の5つのことを意識的に行うことが大切です。

①点の指示ではなく「課題と責任(裁量)」を任せる。つまり、自分で課題=目的を達成するための計画を立て、実行し、チェックし、改善するというPlan-Do-Check-Actionのサイクルを回さざるをえないように仕事を任せる。

②問題が発生した際も、リスクはあるものの「あなたはどうすべきだと思いますか?」とあえて答えを教えず、自分で出口を見つけるよう促す。どうしても解決できない場合、ヘルプを行う

③自分でやりきったことに対しては、きちんとフィードバックをし、より良く再現できるようにする

④上下関係ではなく「この領域においては、あなたがエキスパートです」とパートナーのスタンスを強調し、むしろ指示を仰ぐ

⑤できたことで満足させず、「次はどうしたいですか?次のステップは?」と常に次を考えさせる

等のコーチングがスタッフの自立化への力を蓄積させます。

「依存心が強いスタッフで・・」「安定志向で・・」という見方にとらわれすぎず、自分の物差しをあえて変えてみる、広げてみることこそが、実は私たち自身の成長につながっているのです。店長になると、教えてくれる人は少なくなります。むしろ私たちはスタッフの言動や、そこから生まれる問題から学び続けることを期待されているのです。

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