■環境省が推進するサステナブルファッション! →環境省HP記事
以下は、環境省が推進するサステナブルファッションに関する記事から抜粋したものです。
衣服は上記のような”処分の面”だけでなく、”素材”や”製造プロセス”においても、水、石油の大量使用はじめ相当の環境負荷を伴うことから、サステナブルという観点では大きなインパクトを持つ領域です。
SDGsが徐々に浸透してくることで、お客様の衣服の購入に関する意識や行動も以下のように着実に変わると考えられます。
①見た目というファッション性や着心地という機能性だけでなく、「衣服の製造過程に目を向ける」→“商品タグや表示ラベルを見たり、QR コード等で商品情報にアクセスしたり、販売スタッフやブランドに聞いたりして、素材や生産ルート等を確認し、問題があれば購入をやめる。
②長く着られる品質の物を選ぶ→1着を長く着るために品質を重視し、価格に見合う価値ある商品を購入する。
③使用シーンが少ない、あるいはシーズンごとで変化していく高額品(車・ラグジュアリーブランド製品など)に関しては、持たないことがEthical(倫理的)という価値観が広がる→所有からサブスク(シェアリング)、あるいはリ・ユースへ。
同時にこれまで当たり前とされてきた提供側の「前倒しで服を量産し、売れなければバーゲンで売り、それでも残ればアウトレット、それでも無理なら焼却・埋め立て」という流れに対し、堂々と疑問を呈する人たちも出てきました。売る側・買う側ともにこれまでの常識が徐々に崩れつつあるのが今である、と言えます。
ラグジュアリーブランド各社もこの流れを踏まえ、非常に敏感にSDGsへの貢献という観点で、クリアなメッセージを世界中に様々な形で発信しはじめており、率先して新しい状況を創ろうと努力しています。また、ブランドに限らず「環境に配慮した、あるいは再生繊維を使用した素材」を謳うところが一定のファンを獲得しており、ただ物を売る、ではなく価値観の一致、すなわち”共感”を大切にしている会社が支持を広げています。
■SDGsー店長の向き合い方
もちろん来店される誰もが「環境のことを考慮して」洋服を買っているわけではありません。
最先端のトレンドを楽しみたい、だからシーズンごとに新しいものを買う、というこだわりをもった方も大勢いらっしゃるし、大切なお客さまです。
しかし、”環境保護へのこだわりの深化”に対し、店長としてお客様の価値観に沿って、共感を生み出せるよう事前にしっかり準備をしておく必要はあります。
たとえば来店されるお客様が環境への配慮に絡めて何をブランドに期待しているかをきちんと考えたうえで、「ブランドとしてどんな環境保全活動をしているのか」「どういう素材を使っているか」「製造工程でどう環境負荷を減らしているか」「動物愛護とどう向き合っているか」「ジェンダーレスに対する姿勢」などについて興味を引くように語れる準備をしておくことは欠かせません。また、必要な情報は自ら積極的に収集することも必要不可欠です。
ただし、店長だけでなく、直接お客様とやりとりするスタッフが「会社から説明しろと言われるから説明する」「とりあえずしゃべっておくか」という姿勢で接していると、今の時代、お客様は鋭く見抜いてしまいます。お客様が求めているのは”共感”です。地球の未来に関し、会社の姿勢だけでなく、個々がどう考えて行動しようとしているかも重要な訴求ポイントになります。そこで、店長のスタッフに対する日頃のSDGs啓蒙活動も重要な意味を持ちます。
SDGsの領域は広く、ジェンダーギャップを埋める、育児支援をするなど、多岐にわたります。すべてのことを事細かに網羅することは難しいことですが、日頃から店長とスタッフでSDGsを身近な話題として話し合っておくことでスタッフの認識も高まり、接客でも価値を生みます。
ある店長は、身近なリサイクルの取り組み、新素材の開発、などSDGsに絡む話材を見つけると、意識的にスタッフとシェアをしています。ただ、それだけでは終わらず、なぜその会社がそれを始めたのか、どういうことを狙っているのか、ということにも踏み込んで伝えることによってスタッフも徐々に関心を持つようになったとのことです。「だから最近素材について質問されるお客様が増えたんだ」「うちの近所にもリサイクルのお店ができて思った以上に若いファッショナブルなお客様が入っている」などスタッフからも新鮮な情報を得られるといいます。
常に3~5年後の状態をイメージしながら、環境問題への対応のトレンドをしっかりとらえて、先手でチャンスにしていく柔軟な発想を持った店長の存在価値は、これからの社会にとっても大きいと言えます。
★参考:店舗でできるSDGsの3つの取り組みとは?:ブランド店長問題解決講座(41)
★ラグジュアリーブランド研修シリーズに関してはこちら ラグジュアリーブランド研修シリーズ