ラグジュアリーブランド店長ブログ

プロフェッショナル販売スタッフがやっている3つのこと:ブランド店長問題解決講座(50)

■あなたはプロフェッショナル販売スタッフですか?それとも普通の販売スタッフですか?

プロフェッショナルとは、アマチュアに対してプロ級ということであり、「専門の分野において、アマチュアが簡単にマネできない深い知識・ノウハウを持ち、それを活用して価値を創造できる人」とも言えます。

私はトレーナーとして店頭販売スタッフの接客・販売スキルアップ研修を担当させていただく機会があります。以前はかなり属人的と言われた販売スキルですが、今ではかなり体系化され、ノウハウも蓄積されてきています。
さらにラグジュアリーブランドとなるとブランド力・商品力もある程度味方してくれますから、礼儀正しくこのプロセスを踏まえてスキルを高めることで、お客さまに購入いただくことが可能です。この10年ほどの間にトレーニングも数多く実施され、サービス基準がかなり高まった背景にこのような各社の地道な努力があります。
しかし、全体のサービス基準が高まるとお客様からすれば「それは当たり前」になります。
どこのブランドショップに行っても、にこやかに挨拶し、優しく声をかけてくれて、どんなものを探しているか丁寧に聴いてくれて、必要な商品を提案してくれて、試着もすすめてくれて・・・それはもはや特別なことではなく、「できていて当たり前」のレベルになっているのです。

その中でさらに「おや、この販売スタッフは一味違うな。他のスタッフではできないようなこと(あるいは他のスタッフではできないレベルのこと)をやってくれるな」と思っていただけないと、なかなか「是非、次もあなたに接客して欲しい」とはならないのが現状です。
「もっと担当顧客を創りたい」という想いは販売スタッフであれば誰もが思うことです。しかし、それを実現する道は当たり前の延長線上にはありません。何か一つ自分の強みに磨きをかけて、他の人ではできないことを創り出す、という前提でチャレンジする必要があります。さもないと、お客様から見て「普通の販売員」で終わってしまいます。すなわち、プロフェッショナル販売員はクリエイティブな発想と取り組みが求められるということです。

■プロフェッショナル販売スタッフがやっていることとは?

私はこれまでに「日本だけでなく、世界からも注目される売上をつくっている販売スタッフ」と言われる方々のお話を聴く機会がありました。そのぐらい活躍する方々と聞いて皆さんはどんな方を想像されるでしょうか?
「数字を出そうとがむしゃらに取り組んでいてギラギラしている人?」「人を押しのけてでも自分の数字をひたすら追求する人?」「プライドが高くて近寄りがたい人?」
実はお会いする前は私もそういうイメージを多少なりとも持っていて、緊張しました。しかし、ふたを開けてびっくり。どなたも共通して「結果ありきではありません」「自分でこうすればもっとこうできるかな、と追求し続けていて、気が付いたら世界から注目される存在になっていた」とおっしゃいます。
且つどなたも「自分なりの成功法則があるとしたら、確かに”普通のことを普通にやっている”だけではいけない。逆にそれではお客様に本当の意味で喜んで頂けない。どうすればもっともっと喜んで頂けるかをとことん考え続け、アイディアが浮かんだら即行動してやってみる。そのパッションが伝わって感動していただけたり、信頼していただけたりする。もちろん良かれと思ってやったことでも失敗することはあります。ただそれも勉強で、次にしっかり活かします」というお話をされ、それにまつわる印象深いエピソードをシェアしてくださいます。聞いていて、「それで喜ばないお客様はいらっしゃらないだろう」と教えられます。
あるスタッフは、顧客の記念日ために様々な商品を候補に挙げ、それに関する情報を調べ上げた上で、「お客様にはこれしかないかと・・・。なぜならば・・」とお客様のパーソナルな情報とすべて絡めて「この1点」に集中する。「そのための準備の負荷は相当かかりますが、その努力こそがお客様に伝わるうえ、自分にとっても非常に勉強になります」と言います。
また別のスタッフは毎月来ていただくお客様のために、自分で季節感を出すデザインを考え、合羽橋で買った材料で小さな飾りを創り、お客様を楽しませる。お客様は「私のためにわざわざ。でもそれが嬉しいし、絶対来たくなる」と喜んでくださる。スタッフ曰く「お客様のためでもありますが、私自身それを楽しんでいますし、おかげで”次はどうしようかな”と考えることで、いろいろなものにアンテナが立ち、それが仕事にも大いに役立ってます」。
通常の仕事でも大変なのに、それ以上自分で・・と考えるだけで「そんな負荷がかかることはやりたくない」と思いませんか?という私の質問に対しては、「どうせ仕事をするのであれば、もっともっと自分らしく楽しんで充実させたい。そのために、いろいろ工夫する。だから、仕事か趣味かわからない状態です」という回答が返ってきます。

■共通する3つのポイント

ここまでの話を整理すると、プロフェッショナル販売員といえる方々が共通してやっていることとして以下の3つが挙げられます。
①とことんお客様のために何ができるかを考え続ける。ー 特に「~のために~が必要。~が欲しい」という想いを持ったお客様に私がして差し上げられることとは?を考えぬく、ということです。そこで気づくのです。「知識がないとお役立ちの幅が少なくなる」と。だから「お客様のためにももっと勉強して知識を蓄える。見聞を広める。外商ともネットワークを築く。すべてはお客様へのお役立ちを大きくしたいから」です。

②準備は入念に。ーどんな素晴らしいアイディアでも中途半端に提供されると価値は半減します。やはり形は大切。また、気持ちのゆとりをもってお客様と向き合いたい。そのためには準備の徹底です。準備する中でさらに「もっとこうしたら」というアイディアも浮かびます。ですから完璧はありませんが、そこまでやるからこそ、自信をもってお客様との会話を楽しめます。

③失敗から学ぶ。ーそれでもうまくいかないことはあります。中途半端に行って失敗してもそこまで深く考えないと思います。とことんやって思った結果にならなかったときは開き直りもありますが、「何が、なぜ?」という疑問は頭の中でぐるぐる回り続けます。だからこそ、「次は同じ失敗はしない。だったら何をすべきか」と自然と次に活かすことに脳が働き続けます。それがさらにクオリティを高める道をつくっているのです。

いかがでしょうか?プロと普通を分けるものは、生まれつきではありません。仕事に対する良い意味の誇りとこだわりです。ラグジュアリーブランドで働くうえで、クオリティの追求というパッションを忘れたとき、仕事の醍醐味も逃げていってしまうのかもしれません。

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